車内☆恋愛

「――東城咲〜」

あたしは西城咲で降りる。

彼は一つ前の東城咲駅。

………なんだけど。


(起きない……)


あたしは革靴をコンコンとぶつけてみる。

……だめだ。

遅刻しちゃうんじゃないの?

どうしよー!起こしていい、よね?


「あ、あの。」


あたしは彼の肩を叩く。


「ね…ねぇ、乗り過ごしますよ〜」

「え―…?」


初めて聞く声にドキッとする。

寝起きの少し擦れた低めの声。