「卒業式かぁ……あと何日もないね」

教室の後ろの黒板に落書きのように書かれた、卒業式までのカウントダウン。
そこにはあと10日と書いてある。
その回りには、寄せ書きのように、「寂しい」とか「離れたくない」とか、いろんな思いがそこに綴られていた。
 
「あっ……健太ーおはよー」

教室に入って来た、一人の男子の名前を呼んだ。
彼は控え目に私の挨拶に応える。
 
「おはよー」
「何か久し振りだねっ何してた?」
「ゲームとか…まぁ、勉強も」
「私なんか、受験終わったら勉強しなくなっちゃったよ」

苦笑いを浮かべなら彼に話しかけた。