「おじさんと僕、にてるね」
 
「ママのほんとうに好きなヒトっておじさんのコトなんだね」
 
少年は、そう言い残すと、また遊具の方へ走っていった。
 
風が二人の間を縫うように、通り抜けて行く。
彼女の前髪が、さらりと揺れた。
その後を追うように、俺はそっと彼女の前髪をかき上げた。
 
あどけない寝顔に、思わず微笑みが零れる。
 
 
「ありがとう……」
 
唇から零れた、言葉。
その時、眠っている筈の彼女が笑った気がした。
 
 
 
 
-end-