「良かったじゃないか」
 
またもや、沈黙を破ったのは俺だった。
 
「ぇ?」

うつむいていた顔をあげて、俺を見つめる彼女。
その大きな瞳を見つめながら、続けた。
 
「俺はもう、琉の傍には居てやれない。だから、代わりに俺の血を半分受け継いだ『祐季』と居てやればいい」
 
 
 
「…今更好きだなんて言ったって、琉が困るだけなんだからさ」
 
あの日から5年間、ずっと秘めてきた想いを告げた。
俺は、彼女に笑顔を向けた、つもりだった。

実際うまく笑えていないことは分かっていたけど。
 





「…ごめんね」
 
ぽつり、と零すように彼女が言った。