その瞬間、俺は、何か胸に刺さる感覚に襲れた。
 
ああ…
君はもう
アイツに…
 
「あの子は…私と祐也の子なの…あの日の…」

彼女はくしゅっと前髪を掴んで顔を隠すようにうつむいた。
 
「あの子を見てるとね、祐也のこと忘れようとしても忘れられなくて…尋のこと祐也みたいに好きになれなくて…でも、尋はそれでもいいっていってくれて……でも…ね…」
 
言葉がつまって出てこない様子だった。
 
「…うん」

俺は伝わっているよ、とそっとの手のひらに自分の手を重ねた。
 
 
 
やっぱり──……