「卒業おめでとう」

彼の前を歩いていた私は、背を向けながら、言った。

「そっちもだろ」

素っ気ない返事を返される。

「女子、泣いてたね」
「お前も泣いてたろ?」
「まぁね……」
「で、話って?」


ドクン。


心臓が跳ねる。
なかなか言葉が出てこない。
さっきまで、ちゃんと考えていたのに。

なかなか話さない私に、痺れを切らしたのか、彼は私の名前を呼んだ。

「……琉?」

私は決心して、彼に向き直った。

「祐也、今までありがとう。
私、祐也を好きになってよかった。
祐也ののおかげで、本気の恋ってのを知れたの。」