「久し振りよね。こうやって二人で話すのなんて。」
彼の車の助手席に腰掛けて、話しかける。
彼は呑めるけど、あんまり呑まない人なので、運転を任せた。
「成人式を除けば、まともに話したのは卒業式以来だな」
「卒業式…かぁ……」
確かにそうかもしれない。
たまに連絡は取っていたりしたけど、お互い大学で忙しくていつの間にか連絡を取らなくなっていた。
それに、こうやって面と向かって話す事なんて……高校以来だ。
「取りあえず、今夜は帰さないからねー♪」
「はぃはぃ。分かってますよ」
半分呆れたように応える彼の顔は、笑っていた。

