卒 業

何よりも、祐也。


貴方はどんな気持ちでここに立った？

自分の感情を素直に表さない貴方だから、訊いても答えてはくれないでしょう。

　
寂しかった？
嬉しかった？
悲しかった？
喜んだ？


……考えても分からない。
　
　
　
「おめでとう」

校長は、そう言って卒業証書を私に差し出した。
何度か見たけど。
今日は返さない。


いや、返せない。

　
礼をして、ゆっくりと席に戻った。
私が席に着くと、隣の人が呼ばれた。