式の練習で、何度か通った道を進む。
 
ここを歩く事も最後。
最後になってしまうんだよね。
 
切なくて、泣きたくなった。
だけど、席に戻るまでは、泣くわけにはいかない。
それに……。
 
 
顔をあげると、校長が、卒業証書を持って立っていた。
 
「第3626号 藤 琉殿」
 
私の前には、3625人の人が、この高校を卒業したんだ。
 
どんな思いで、ここに立ち、どんな思いで、卒業していったのだろう。
胸に抱いた思い出は、楽しいばかりではなかったはずだ。
きっと苦しい事もたくさんあったのだ。