好きになって欲しかった。
でも、それは無かった。

自分の行動が、彼を傷つけた。
そんな事分かってるよ……。
だから、貴方は手に入らない。



「柊 祐也」
「はい」

担任の名前を呼ぶ声に返事をする彼。
私の前の席。
視界が一瞬、黒くなる。
彼は、ゆっくりと歩き出す。

視線は、自然と彼を追っていた。
それは、目に焼き付けるように。
余すところなく。


校長の目の前で、脚が止まる。
背中を見つめた。
「第3625号 柊 祐也殿」


胸が締め付けられた。
感情が一気にあふれそうになった。