不意に視線が絡み合う。

朧気に見える彼の顔。

アルコールにやられたのだろうか……。
言葉がうまく出てこない。

何か言いたくて、遮ったのに。
思う様に出てこないよ。

私が戸惑っている間、沈黙が二人を包んでいた。
 
「……何?」

沈黙を破ったのは、彼だった。
何の事?という顔をしている。
覚えてるわけ……ないか。

「何れもないよ…ちょっとトイレ行くー」

そう言って、席を立った時、突然立ち眩みに襲われた。
ふわりと、世界が反転する。
 
「琉?!」



彼が、私の名前を呼ぶ声が、遠くに聞こえた――