「しっかり考えなさい……本人の部屋に監禁するなんて、あるはずないじゃない」


自分に対する苛立ちを、思わず口にしてしまう。


「無駄な時間を食ってしまったわね」


それこそ、薬を失った春樹が倒れているかもしれない。


――恵理夜は、フェイクである箱を手にしたまま、再びその部屋を飛び出した。