パタパタと女の子の走り去る音が聞こえた …けれど、今はそれどころではなさそう。 「今、行こうとしていたんです」 「そう?新刊も入ったからみにきてね」 「はい」 タイミングが悪すぎる森脇さんはそそくさと立ち去って行った。 この状況で置いていかないでください…。 「里沙、聞いてたの?」 あたしと中沢くんは対峙した状態で。 “逃げる”という選択肢はなさそうだ。 …というかそもそも、たまたまあたしは居合わせただけで。