「なか、ざわくん?」


抱きしめられている恥ずかしさが込み上げてくると同時に、痛くなくなっていく頭。


中沢くんは暫く何も言わず、あたしを抱きしめていた。



あ、あたしは…、どうしたらいいんだろう。




「…ゴメン、急に。頭…、もう痛くない?」


「うん…」


どうしてそんな悲しげな表情をするの?


暫くして抱きしめられている腕が緩んで中沢くんと目が合う。


碧い瞳は悲しさをもっと引き立てているように見えた。



ドクン、ドクン―…。


見つめ合う時間と比例するようにあたしの心は揺れていた。