「まさか、マジでお前らができてるとはねぇ。俺でも気づかなかったわ。オメデト」


「社長~。酷いっすよー。付き合ってんなら言ってくださいよー。でもま、おめでとうございます」


「朝倉さん。あの社長をゲットするなんて、貴女も隅に置けないわね。おめでとう」



薬指にペアリングを携えて、大々的に婚約発表をしたのは、その日からちょうど一年後。


色とりどりの祝福の言葉を浴びて、二人並んで笑う。



僕たちはようやく、あの薄暗く、狭い部屋から抜け出した。


二人の世界は、今はもう、二人ぼっちじゃない。



広い世界の下で、堂々と手を繋いで歩いていくんだ。




けれど、僕の光は君だけで。


君が世界を照らしてくれるから、僕は世界を見渡して歩いていける。



そしてそれが、君にとっては、僕であることを望んでいる。


――僕だけであることを。




僕は、いつまでも身勝手な愛情で

君と永い未来を歩いていくんだ――






    END.