匠は氷をガリガリと噛み、口に残るウイスキーの味をなくそうとしてる。

リビングに戻って来た優太が「酒臭っ」と言いながら、俺らの後ろのソファーに座る。

優香は窓から空を見上げ、「雨、降りそう…」と言ってる。

俺は優香の背中をチラチラ見ながら、父親の用意した水割り焼酎を呑む。

目を離したら、消えそうな気がした。

灯に「優香と飯食え」と伝え、ダイニングに行かせた。

酔わないように控え目に呑むつもりが、減ると父親か匠がすぐに足す。

“まだ大丈夫”と思って居たが、気付いた時には、フラフラだった。