優香たちから一歩遅れて斎場に着くと、保が近付いて来た。 父親に襟元のボタンを閉められ、母親にカッターシャツをズボンにしまわれながら、「優香が弔辞を読むって」と言う。 「弔辞なんて用意したの?」 駅で拾った灯と縁。 灯が母親に訊けば、「全く」と首を振る。 「思い出を言えば良いって、あの人が言ってたよ」 保が指差したのは、優香を頭に手を乗せて、何かを話してる中込の兄貴の草介さん。 不謹慎ながら少し妬けた。 縁が「また素直じゃないのね」と言いながら、優香に近付き、優香と草介さんを離した。