途中で匠と樹に離され、優太は匠に支えられながら、霊安室を出た。



「また、お通夜の時に、改めてご挨拶をさせて頂きます…」



「いえ…。急にこんな事になったんです。優香ちゃんたちの事、先生よろしくお願いします…」



樹と一緒に部屋を出て、タクシー2台で家に帰る。

自室に入り、ベッドで膝を抱えた私の横に、樹が座る。

シクシクと小さく私の頭を撫でた樹の胸に、私は飛び込んでしまった。

あの日のように、ただ樹に包まれたかった。

ムカつく事を言われても、あの日、覚えた感覚を、私は一度たりとも忘れてない。