私が泣きながら首を振り、「草介さんが…言った…」と言うと、樹が「…入ろう」と言う。

私は優太の手を握りながら、無言で夜間出入口から病院の中に入り、草介さんを捜した。

救急外来と書かれた場所に行ってみるも、そこは無人。

《病院に来たんですが…》

草介さんにメールを送ると、《エレベーターに地下二階に居るよ》と返事が着た。

エレベーターに乗り込み、震える手でB2のボタンを押して、地下に降りると、薄暗い廊下が目の前に広がった。

“霊安室”という小さな案内が貼られたアルミ製のドアに、ぼんやりとした灯りが見えた。