俺は優香の為に待たせるわけにいかないと、「もう初めて良いかと…」と言う。



「…そうだな。優香はどうせ、帰って来ない」



樹がそう言うと、義母親と匠が「優香…」と言った。

俺が振り返ると、暗い顔をした優香が立って居た。

樹は「あ、いや…」と、申し訳なさそうな顔をしながら立ち上がる。



「…お誕生日、おめでとうございます。では…」



優香は樹を見ずに、テーブルに白い箱を置く。

その上には、リボンの付いた赤い袋を置いた。



「ちょっと、待て!」



俺は優香の手を掴み、どこかへ行こうとするのを阻止した。