「支払いしてねぇよ、あのおっさん」



兄貴は伝票を見ながら言う。

“どうせ払うなら”と、俺はコーヒーとオムライスのランチを二つ注文。

兄貴は「優香は縁たちより手が掛かる」と言いながら、おっさんの名刺を財布へとしまう。



「それは違うだろ。兄貴は優香ばかりを見てるんだよ」



別に兄貴は縁や灯、生徒たちに差別はない。

けど、優香によく目が行ってるのは事実。

自覚がないのか、「そんなわけねぇだろ」と、首を捻ってる。

俺は「そんなに好きか(笑)」と笑いながら、先に届いたコーヒーを飲みながら、オムライスを待つ。