かといって、俺に何が出来るかはわからない。

職員室の隅にあるロッカーへと、始業式に余った教科書を取りに行き、優香と中込の分を用意する。



「はぁ…」



俺が優香に近付き迫るほど、あいつが逃げて行くような気がしてならない。

家族になる前、俺は優香とどんな風に接していたのだろうか。

授業に行く平松先生を見届け、デスクにしまわれた優香が1年だった2年前の自身の教育日誌を開いた。

まだ新人で、副担任で、早く一人前になろうと、寝る時間も惜しんで、1人ずつ様子を書いてた日誌。

優香はあの頃、今よりも多く笑い、友達だって多かった。