「豊嶋先生…」



俺はズボンに手を突っ込み、明らかにまだ不機嫌のまま、樹に近付いた。

樹は「何かあったか?」と言って、俺を見た。



「樹は気付いてたんだ。優香が援交してるって」



「…あ、まぁな」



樹は“何で俺が知ってる?”とでも言うような顔。

こっちからすれば、“樹がどうして知ってるのか”気になるけど、今の俺にはどうでも良かった。



「優香と亜弥に、余ってる教科書あげてくれない?」



「“教科書”?」



俺が全てを話すと、樹は納得したような、でもホッとしたような顔をした。