確かに、会ったのは久しぶりだ。

両親の葬式にも来なかったし。

幼稚園の時に一度だけ、会った事があるような。



「校門で待ってるから、後でいらっしゃい」



「いや、普通は行かないでしょ」



優香も俺も、話す事は何もなかった。

俺も優香も、今は豊嶋の家族として居る。



「私に逆らうのは、河原を捨てると同じ事だ。優香はまだ河原だろ?」



優香は「わかったら、ここから出て行って下さい」と、祖父を追い出した。

樹は「俺も行くから」と言って、教室に戻り、コソコソと話すクラスの連中を黙らせた。