…噂じゃねぇのかよ…。

ショックを通り越し、悔しさに襲われた俺に、優香は「出よう」と言う。

外に出ると、優香は「帰りたい…」と、泣き始めた。

タクシーはないし、通る気配も感じられない。

俺は号泣する優香を抱き締めながら、匠に電話をした。

樹は学校で新学期の準備だと聞いたし仕方ない。



「あ、俺…」



『どうした?』



「●●の市民会館に迎えに来てくれない?」



『良いけど』



「じゃあ、よろしく」



用件だけ言って切った。

優香はまだ泣いてる。

…これ、樹の役目なような…;;