キッチンに付いたサブのバルコニーへと出れるドアのガラスから漏れる光を頼りにお茶を淹れると、ピンポーンと、鳴る筈のない、来客を知らせる音。

インターフォンとドアの電子ロックの電気代は、共益費から引かれる仕組み。

だから鳴って当然だけど、イタズラだったら気持ちが悪い。

私は優太に「よろしく」と言って、お茶をリビングのテーブルへと運んだ。

ガラスのテーブルと、湯呑みのカチャカチャとぶつかり合う音を深いに思ってると、優太は玄関へと行く。

私が「誰だろうね?」と灯ちゃんに訊けば、「多分…やっぱり何でもない!」と、はぐらかされた。