『灯だけど。話あるの』



「何だよ?」



『…優太も優香も、ここに住みたいんじゃないかな?泣いてるよ。
優香、親の必要さをわかってるでしょ?だから“無理に樹とは付き合う事はない”って言ってた。
そんなに想ってくれ子に、お兄ちゃんはどうやって愛を返すの?』



灯に言われ、俺は自分の情けなさを感じた。

電話を切り、母親の前に座る。



「俺、この家族が好きだ。まぁ、嫌った事なんてないけど。
でも、優香に代わるモノってないんだよ。優香には優太しか居ないのに、俺を想ってくれるなら、何倍にも愛して守ってやりたい。だから、俺、行くわ」



例え親不孝でも、背に腹は変えられない。