「…優香、居るわ」



俺は玄関に置いてある優香の靴を見ながら言う。

中に入り、優香の部屋に入ると、軽く埃被ったベッドで寝ていた。

起こすのも可哀想で、一旦リビングへと行き、窓を全開にした。

ベランダに転がったバケツを部屋の中に入れ、優香が買って来たであろうジュースをコップに注ぎ、灯に出した。



「立派なマンションだね」



灯は部屋を見渡しながら言う。



「確か…6千万だからな」



一括購入で、「共益費は5千円なの!貯金して来た甲斐があったわ」と言っていた母親の横顔を思い出す。