「明日の朝まで待ちましょう」

ドキシは少しだけ、空中に浮かんだ。

「皆殺しにするのは、その時にします。それまで、恐怖するがいい。命があることを!」

ドキシはティアナを見下ろした後、一気に空中に浮かび上がった。

すると、烏天狗も後を追った。

家を食べていた口の魔物達も、慌てて空中に飛び上がった。

その様子を見上げていた人々は、空を見て絶句した。

襲撃した魔物の数の倍の…烏天狗がいたからだ。

「お、終わった…」

村人の一人が、呟くように言った。

「では…数時間後に」

ドキシは空中で、頭を下げた。

その次の瞬間、空を覆い尽くしていた魔物達が、飛び去っていた。



「くそ!」

ティアナの手から、二本の剣が落ちた。

自分の体も限界であった。

次の攻撃は、無理あった。

虚勢をはってみせただけであった。

魔物の気配がなくなったのを確認すると、ティアナはその場で倒れ込んだ。

そして、意識を失った。



二時間後、意識を取り戻したティアナは…神殿の中にいた。