「朱里、大丈夫?」




あたしは隣を歩く朱里を見た。




まだ朱里は肩を負傷してるから…



「えぇ。今は痛み止めが効いてるし、痛まないと思うから」




あたしは後ろを歩く犯人をチラ見した。




コイツ…軍人かな…?
歩き方が普通じゃない。




階段で一階まで降り、ロビーに突きだされた。




ロビーには沢山の患者さんや病院スタッフの姿。




中には具合が悪そうな人もいる。



どうしようかな…
早く人質を解放してあげないと、命に関わる。




あたしは1人考え込んでいた。




――トントン…




ん?




誰かに足を叩かれ、そちらを見る。




「き、桐島ちゃ…」




隣にいたのは、私服姿の桐島ちゃんだった。




桐島ちゃんは“しっ!”と言うように人差し指を口に当てた。




「……上にはまだ誰かいたか?」




桐島ちゃんは小さな声であたしに聞いてきた。




「……あたしと朱里だけだったみたい。個室だったからさ…」




「――おい、そこ!」




ジャキッ!と銃を構える音がした。




きゃあっ!とロビーにいる人達が悲鳴を上げた。