「水樹…」
朱里は小声で言いながら、険しい顔をした。
「…本物みたいだね」
あたしは鞄から銃を取り出す。
「あら…持ってきてたの?」
朱里は護身用の銃を見て呟いた。
「一応持ってきてただけなんだけどね。ラッキーだったわ」
と言いつつ、あたしは銃を鞄にしまった。
「使わないの?」
朱里は不思議そうにあたしを見る。
「銃だと警察かもって疑われるじゃん?だから他の物使わないとだよ。なんかないかなぁ…」
あたしは病室を見渡す。
「あ、それならこれがあるわよ!」
朱里はベッドの脇にあるチェストから警棒を出し、あたしに渡してきた。
「おーっ!さんきゅー朱里ぃ〜♪これなら使えるわぁ」
あたしは朱里にお礼を言う。
――ガラッ!
いきなり勢い良く病室の扉が開いた。
「――おい!お前ら早くロビーに移動しろ!殺すぞ!!」
来たか…。
あたしはテロリストに見つからないように、銃と警棒をジーンズのベルトに挟めた。
「……はい…」
あたしと朱里はわざと怖がるフリをする。
下手に堂々としてると、また疑われるかもしれないから。
あたし達は両手を挙げながら、病室を後にした。

