階段を駆け上がり、倉庫に入る。
あたしは見つからないように中を見渡す。
…いた!
男は1人でコソコソと何かをしている。
なにしてんの…?
あたしは物陰に隠れながら男を観察する。
念の為に銃、出しとこ…
あたしは銃を出し、構えた。
ん!?
アイツ…銃を持ってる!?
あれ、本物だよね!?
男は黒い鞄から銃を取り出していたのだ。
もしかして…テロリスト?
都知事を狙ってるとか?
それにしても1人でなんて…どんだけ度胸座ってるヤツなワケ!?
――ガチャッ!
男は銃の引き金を引いた。
ヤバイな…
このままほっといたら確実にアイツは都知事を襲いに行く。
あたしは覚悟を決め、ゆっくり男に近付いた。
「――ねぇ、なにしてんの?」
男はそうとう驚いたみたいで、尻餅をついた。
「だっ、誰だお前は!」
男はあたしを見て、震える声で話す。
「ふっ、あたしはSPだよ。都知事警護についてんのよ」
あたしは不適に笑みを浮かべる。
「あのさ〜…今なら銃刀法違反でどうにかなるしさー…やめない?殺人なんかしたら刑務所から出られないよ?」
あたしは男の前に立ちはだかった。
「うっ…うるさい!何をしようと俺の勝手だろう!」
男は銃口をあたしに向けた。
「……じゃあ仕方ないね」
あたしは溜め息をつくと、銃をしまった。
「わ、分かってくれたか…」
「え〜?分かるわけないじゃん!」
――バキッ!!
「うわぁっ!!」
あたしは銃を握る男の手を殴った。

