――都庁。
あたし達は素早く車から降りると、それぞれの配置場所に着いた。
てか人多くない?
不審人物いても分かるかなぁ…
あたしは辺りを見回した。
今の所…危険人物なし。かな?
朱里達も真剣に警護をしている。さすがSP歴長いだけあるなぁ。
あたしなんかより現場に慣れてるのが分かる。
ま、健太は配属されてまだ2ヶ月だし、あたしと変わんないけど(笑)。
すると、玄関から1人の男の人が入ってきたのが目に入った。
ん…?
なんかあの人…おかしくない?
ひょろっと背が高い。
歳は…30過ぎくらい?
問題は容姿と行動だ。
黒いジャンパーに黒いズボン。
サングラスに大きな黒い鞄。
そしてやけに回りを気にしている。
普通あんなカッコするかな?
態度も変だし、鞄もやけに大きいし。
あたしは無線を繋いだ。
『受付付近、警戒して下さい』
男の人は受付辺りでうろうろしている。
見るからに怪しい。
朱里達はさりげなく、受付辺りを警戒している。
すると男の人は小走りで、階段を上がった。
マズイ!
逃がしちゃう!
あたしは素早く男を追いかける。
『二宮!聞こえるか?応答しろ!』
無線から緒方さんの声がする。
「はいっ、聞こえてますよ!動きます!」
あたしはそれだけ答えると、男を逃がさないように見構えた。
男は2階にある倉庫に入った。
なんで倉庫なんかに…
あたしはますます不審に思い、後を追い続けた。

