「けど…?」




「今は仕事も忙しい時期だし…彼にも迷惑掛けたくないし…あたし1人で産むつもりです」




「美姫ちゃん……」




医師は悲しそうな顔をした。




そして、そっとあたしの手に手を重ねてきた。




「医師…?」




「美姫ちゃん。私は…ちゃんと彼に言ったほうが良いと思うわ。だって美姫ちゃん自身も辛いでしょう?」




「………………」




あたしは何も言えなかった。




辛いに決まってる。




愛する人の子供を授かったのに、その本人に言えないでいるなんて。




「医師…あたし……怖いの。彼が…優輝が…別れを切り出してこないかが…。あたし達の仕事は普通の仕事じゃないし…優輝はどう思うのかが…怖い」




あたしは涙を流しながら言った。



怖くて仕方がない。




優輝を…失いたくないの…。