時計を見ると、7時20分。
「やっば!!遅刻するーッ!!」
あたしは鞄をわし掴みにすると、戸締まりをして部屋を出た。
――ブロロロ…
マンションを出ると、一台の車があたしの前に止まった。
ん?
誰だろ…
つかベンツだしっ!
あたしは不思議に思い、中を覗いた。
「ちょうど良かったな。乗れよ」
「お、緒方さんっ!」
中に乗っていたのは係長の緒方さんだった。
あたしは『お邪魔します…』と言いながら緒方さんの車に乗り込んだ。
「いや〜助かりました!もう少しで遅刻するとこでした!」
あたしは後ろ頭を照れ隠しをするように掻いた。
「はは、二宮は朝苦手なのか?」
緒方さんはクスクスと笑いながら左ハンドルを器用に操作する。
「いえっ!むしろ寝起きはいいし、朝も得意なんですけど…今日ばかりは起きれませんでした…(汗)」
「そうなん?確か前は特殊部隊にいたんだよな?」
緒方さんは横目であたしを見た。
「あ、はいっ。特殊部隊があたしが初めて配属された部署です!」
「へぇ〜…特殊部隊ってことはSATだよな?」
「はいっ」
「すげぇな、SAT隊員だったなんて。なら射撃はかなり上級だろ?」
「射撃は大得意ですっ♪てか緒方さんだって係長やってるくらいなんですから射撃上級に決まってるじゃないですかっ!(笑)」
「いやいや、そんなことないよ」
緒方さんは苦笑いを溢した。