「ん〜いた…かな」
やっぱり…ホントなんだ。
「その人の名前って分かる?」
ホントは聞きたくなかった。
怖いけど…聞かなきゃモヤモヤしたまんまだし。
「えっ?つかなんでんなこと知りたいの?」
健太は不思議そうにあたしを見る。
そりゃそうだよね。
いきなりこんなこと聞けば。
「ん…ちょっと知りたいことがあってさ。で?知っての?」
あたしはデスクに頬杖をついた。
「え…えーとね…確か警視庁特殊部隊の…戸田潤?だったかな。散々写真とか見せられてたんだぜ〜?毎日ノロケ話とかされたしな(笑)」
「……そう」
あたしは健太の口から出た1人の名前に硬直してしまった。
やっぱり…潤と朱里は付き合ってたんだ。
でも…なんで朱里はあたしに言わなかったんだろう。
言ってくれれば良かったのに。
「え?みず、もしかしてその“戸田潤'て人のこと知ってんの?」
健太は紙をヒラヒラさせながら言った。
「…知ってるも何も…あたしの婚約者だよ」
「えっ!?嘘だろっ!?」
健太は目を丸くした。