――…




『マルタイ到着』




無線機に二係の係長の声が入る。



「了解」




あたしはそれだけ呟くと、任務に集中する。




今、あたし達は国務大臣の応援警護に付いてる。




夢のような結婚式が終わってから、数ヶ月経っていた。




もちろん、潤もSPとして働いてる。




あたしは気を抜かないように、集中して回りに気を配った。




――その時。




「……っ…!」




いきなり激しい吐き気に襲われた。




あたしは力なく、その場にしゃがんでしまった。




それに気付いた朱里が、咄嗟にあたしに駆け寄ってくる。




「水樹、大丈夫?調子悪いの?」




朱里は心配そうにあたしの顔を覗き込む。




「ん……ちょっと…気持ち悪くなっただけだから…」




あたしはふらつく足を何とか立たせた。




「ダメよ、症状が悪化したらどうすんのよ。体調悪いのに警護なんて出来ないでしょ?」




確かに…朱里の言う通りだね。