「へぇ〜どれどれ…」
朱里は興味津々にケータイを見る。
するといきなり朱里の表情が急変した。
「嘘…この人って…」
え…?
“この人'?
朱里、潤のこと知ってるの?
「あの〜…朱里?」
「…ねぇ水樹。彼、なんて名前?」
朱里は静かに聞いてきた。
「え?戸田潤だけど…」
「戸田……潤…」
朱里はケータイをストン、と膝の上に落とした。
「えっ?潤のこと…知ってるの?」
あたしは不思議に思い、聞いてみた。
「あっ…ひっ、人違いだったみたい!あたしの知り合いにそっくりな人がいるのよ」
「そ、そうなんだ!」
朱里…
なんか異常に焦ってる?
どうしたんだろ。
「ほ、ほら!もうこんな時間だし帰りましょ?」
時計を見ると、もう夜の12時になっていた。
「あっ、うん!帰ろっか…」
あたしはぎこちなく返事をした。
朱里は焦りながら鞄をわし掴みにすると先にオフィスを出た。
「――ありゃ?みず?」
朱里がオフィスを出た後、うしろから声を掛けられ、振り向く。

