「ふふっ。そんなに知りたいの?」
朱里は優しく笑う。
「うんっ。朱里が好きだった人だもん!知りたいよ〜」
「う〜ん…。どんな人だったか…そうね…優しくて、とても気遣いの出来る人だったわ。すごく…モテたしね。街を歩けばみんな大注目だったわよ」
「え〜!?そんなにイケメンだったの!?」
あたしは驚いた。
街を歩けばみんな大注目って…
潤みたいじゃん!(笑)
「まぁいい男だったわね。それが原因で別れちゃったんだし」
朱里はハーッと溜め息を吐いた。
「えっ…?それってどういうこと?」
あたしは不思議に思って聞いた。
その人がいい男だったから…別れた?
どういうこと…?
「彼、すごく真面目な人だったんだけどね。浮気なんて絶対にしないような。けど…あたしが耐えられなかったの。」
「耐えられなかった…?」
朱里はゆっくり頷いた。
「毎日沢山の女に言い寄られてたのよ、彼。それでも彼はまったく動じなかった。けど…あたしにも文句を言ってくる女も沢山いた。彼、特殊部隊なんだけどね。あたしはその頃もSPだったの。“同業者同士で付き合ってあなたが死んだらどうするの?'って言われたのよ。…さすがに堪えたわ」
「ひど…い」
あたしは声を漏らした。
「あたしとしたことがどうしちゃったのかしらね。普通だったらそんな嫌がらせ、耐えられたハズなのに」
朱里は瞳に涙を溜めて言った。

