「朱里」
「……っ…」
俺は再び朱里の腕を引っ張り、抱き締めた。
鼻を掠める朱里の甘い香りに酔いしれそうになる。
「なぁ…元カレの代わりでもなんでもいいからさ。俺に傍にいさせてくんない?」
「元カレの…代わり……?」
朱里は震える声で呟いた。
「あぁ。朱里が苦しんでる姿なんて見たくねぇよ…」
そう言うと、俺は更に抱き締める腕の力を強めた。
「…け…んた……」
「好きなんだよ、朱里…。お前を苦しめる全てから守りたい」
あー、何キザなこと言ってんだ?俺は……
けど…
これが本心だからな。
「……っ…ワケ…分かんないしっ…!」
朱里はそう言うと、俺の背中に腕を回し、ギュッとしがみついてきた。
「ありがと…健太」
朱里は優しい声で言った。