俺はその台詞に胸が痛んだ。
俺は、お前が好きなんだよ。
朱里だけが、好きなんだ。
「……ちょっと来いよ」
俺は朱里の細い腕を引っ張り、無理矢理立たせた。
「ちょっ、やっ!離してっ…」
朱里は小さく抵抗する。
俺はその抵抗を軽々と阻止する。
朱里を無理矢理バーから出すと、俺は建物の隙間に朱里を追いやった。
「なっ、何すんのよ!健太!?」
「…朱里は……気付いてないよな」
「え?」
「俺の気持ちに」
俺は朱里をビルの壁に押し付けると両手を顔の横につき、行く手を阻んだ。
「き、気持ち…?」
朱里は俺を遠慮がちに見上げた。
「うん」
「し、知らないわよ…そんなの」
知らない…か。
「じゃあ、これで分かる?」
「えっ?」
俺はゆっくりと顔を近付けた。

