車を近くの駐車場に停車させ、店内に入った。




カランカラン、という音と共にバーのドアが開く。




その音に気付いたカウンター内にいる女性バーテンダーが“いらっしゃいませ”と愛想良く言ってきた。




俺はカウンター席を見た。
だが、朱里の姿は見当たらない。



どこにいるんだ…?




俺は店内を隈無く探す。










――いた。




見るとそこにはテーブル席に1人で座り、テーブルに突っ伏している朱里の姿があった。




「おい、朱里!大丈夫か?」




俺は朱里に近付くと、肩を軽く揺すった。




「ん〜……け…ん…たぁ…?」




朱里は腕の隙間から、トロンとした目で俺を見る。




コイツ…完全に酔ってるな。




俺は呆れたように溜め息を吐くと、朱里の目の前に座った。




それにしても…かなり飲んでるな。




体がぐったりしてるし、かなり酒臭い。




「おい、朱里…どうしたんだよお前……」




朱里はむやみに酒を飲んだりするヤツじゃない。




それに…まだ怪我も治ってねぇんじゃねーの?




「ふ…なによぉ……アンタまであたしを侮辱する気ぃ…?」




朱里は項垂れながら、クスクスと不適に笑った。