「……どけ」




パーカーの男はSPから銃を奪うと、あたしの方を見た。




「アンタこそ、さっさと投降しなさいよ」




あたしはそこから一歩も退くことなく、男に銃口を向けたまま、睨み続けた。




「そうか…残念だよ。綺麗なお姉さん」




男はニヤリと不適に笑うと、銃の引き金を引いた。




あたしは片手で総理を庇いながら銃口を向ける。




「今、銃を捨てれば痛い目に遭わなくても済むぞ?…どうする?」



ふ〜ん…。
取り引きってヤツ?




あたしはフッと自嘲的に笑った。



「……いいよ。捨ててあげる」




あたしはパッと銃を手から離した。




“ガシャン”と音を立てて、銃は床に落ちた。




「き、君!何をしているんだ!?拳銃を捨てたりしたらどうやって…」




総理は焦った口調で、あたしに問い掛けてくる。




「大丈夫です。手は考えてありますから」




あたしは男に聞こえないような、小さな声で言った。




「よし、そのまま両手を挙げて俺の傍に来い」




あたしは言われた通り両手を挙げ、歩き出した。




総理を見ると、かなりビビってるみたいで動かない。