あっ、マズイ!
隠れなきゃ…
――と、その時。
「――きゃっ…」
ガタンッ…!!
朱里の声と共に、いきなり何かが倒れるような音がした。
なにっ!?
「僕は…ただ君のことだけを見てたのに…君だけが好きなのに…!どうして叶わないんだ…!!!」
男はブツブツとぼやきながら、朱里に覆い被さっていた。
えぇっ!?
ヤバくない!?この状況…
「やっ、やめなさいよ!あんた、あたしにこんなことしてタダで済むと思ってんの!?」
朱里はムキになって怒り出す。
「おっ…怒ったってやめないぞッ!?き、君が僕のことを好きと言ってくれるまで…」
すると男は朱里の首筋に顔を埋める。
「イヤッ…!!やめ…なさいよぉ…!!」
朱里はジタバタと抵抗する。
マズイッ!
助けに入らなきゃ!
でも…朱里、もしかしたら自分で攻撃する準備をしているのかもしれない。
朱里だってSPなんだしね…。
あたしよりSP歴長いし。
「やめなさいって…言ってんでしょ!?」
――ドゴッ!!
「う゛っ…!」
朱里は男の腹に、膝を思い切り入れ込んだ。
男は苦しそうにその場にうずくまる。
朱里は呆れたように男を見下ろすと、部屋を出た。