『違うんですか?何だかレオさんがあのナースを見つめていた様な気がしたんですけど……』
見つめていた様な…気はする
遠山刹那…そいつに笑顔を届けるのが俺達の指令だ
という事は、刹那とか言う女はさっきのナースみたいに笑わないという事になる
さっきのナースは笑顔を絶やさなかった
俗に、営業スマイルと言う奴だろう
俺は見つめていた訳ではない…か
ただ、笑顔を絶やさないあのナースに対して……
少し感心していただけな様に思う
『見つめてねぇよ、今は指令が大事だ』
『ですよねぇー、レオさんにあの人は釣り合わないですし』
『言われなくても分かってるっての!!!』
キララは俺の胸にグサッと突き刺さった言葉を発して、302号室の扉に手を掛けた
近くまで来ていたのか……
俺はキララが開ける前にドアをノックした
しかし返事がない
『トイレにでも行ってるのか?』
『死んだんじゃないんですか?』
『縁起でもない事言うなよ!!』
俺はキララの恐ろしい考えにツッコミを入れてから、扉を開いて中を覗き込んだ
電気はついているくせに…ベッドはもぬけの殻だ
脱走したか…用事で病室から出たのか……
とりあえず………
『待っとくぞ?』
『それしか無いですね』
俺達はベッドの側にあった椅子に座って待つ事にした


