『それじゃ……今度こそ、行くぞ』
俺は扉の方へ歩いて行き、ドアノブに手を掛けた
ドアノブの冷たい感触が手の平に伝わる
『レオさん?手が震えてます』
『気のせいだ』
俺は自身の手の震えをごまかす様にドアノブを回した
バタン……―――
『間違いを間違いと思うなよ……落ちこぼれサンタよ』
扉が最後まで閉まったのを確認して先代が口を開いた
先代の言葉を聞いたリルルは扉を見つめた後に軽く首を傾げる
『言っている意味が分からないのですが?』
『いずれ…分かるじゃろ』
先代はそう言葉を吐き捨てると、黒いファイルを見下ろした
遠山刹那………
この少女が彼らの人生を変える事になる
先代は黒いファイルを閉じながら軽く笑みを漏らす
―――楽しみが増えた
『……笑みが気持ち悪いです。息をしないで下さい』
『それ、死ねって言ってるよね!?そうだよね!?』
先代に肩を掴まれたリルルは心底ウザそうにしている
『セクハラで訴えますよ?』
『精神ズタボロ……』
先代の言葉はこの明るい部屋の中で消えていった