悠と諒の漫才みたいな喧嘩も、綾のマイペースな態度も。
「いいよ。今度リビングにも灰皿置いておくから」
沙織は笑って言った。
「マジで? 連中もめっちゃ喜ぶよ」
ありがとう、ありがとうと綾は沙織の手を取ってぶんぶん上下に振り回している。
わかった、わかったと沙織は苦笑しっぱなしだった。
「そうと決まったら早く帰ろうぜ。あいつらに報告…」
言いかけて、綾はふと、吹き抜けになっているデパートの広場を見渡した。
どうかしたのかと、沙織も下を見る。
平日とはいえ、買い物客はなかなかの賑わいを見せている。
「どうしたの?」
沙織が聞いた。綾は、広場を見つめたままにやりと笑う。
「うん、あそこに一人『人間じゃないもの』がいる」
「え?」
人間じゃないもの…って何?
…お化け、とか。まさか。
不思議なこの言い回しだが、考えてみれば綾は出会った時からこの調子なのだ。
いつもの事だと、沙織はあまり考え込まないことにする。
「沙織…目に見える世界だけが現実じゃないんだよ」
珍しく真剣な口調で、綾は言った。沙織は「うん」とだけ頷いた。
「目に見えないものが見えてくるとさ…自分って何て弱いんだろうって思ったりするよな」
…そう言われても、まるで解らない。
でも、何も知らないよりはマシか。
だけどな〜雑魚相手にしてらんねぇよなぁ、とか呟きながら、綾は伝票を持って立ち上がった。
沙織もその後に続く。
しかし、あの人ごみの中からどうやって、人間と『そうでないもの』の区別がつくのか。
なんだか少し、気味が悪い。
「大丈夫だよ、あたしがついてるから」
ぱしぱし、と沙織の肩を叩いて綾は呑気に言った。
そして二人はカフェを出て車に乗り込むと、家に向かう。
☆☆☆
「おかえり〜」
家に戻ると、悠がエプロン姿で出迎えてくれた。
それを見て、沙織は思わず吹き出す。
「悠くん…何、その格好?」
「たまには俺が沙織ちゃんに手料理でもと思ってね。いつも作ってくれてるし」
…夕飯の支度をしてくれていたのか。
「いいよ。今度リビングにも灰皿置いておくから」
沙織は笑って言った。
「マジで? 連中もめっちゃ喜ぶよ」
ありがとう、ありがとうと綾は沙織の手を取ってぶんぶん上下に振り回している。
わかった、わかったと沙織は苦笑しっぱなしだった。
「そうと決まったら早く帰ろうぜ。あいつらに報告…」
言いかけて、綾はふと、吹き抜けになっているデパートの広場を見渡した。
どうかしたのかと、沙織も下を見る。
平日とはいえ、買い物客はなかなかの賑わいを見せている。
「どうしたの?」
沙織が聞いた。綾は、広場を見つめたままにやりと笑う。
「うん、あそこに一人『人間じゃないもの』がいる」
「え?」
人間じゃないもの…って何?
…お化け、とか。まさか。
不思議なこの言い回しだが、考えてみれば綾は出会った時からこの調子なのだ。
いつもの事だと、沙織はあまり考え込まないことにする。
「沙織…目に見える世界だけが現実じゃないんだよ」
珍しく真剣な口調で、綾は言った。沙織は「うん」とだけ頷いた。
「目に見えないものが見えてくるとさ…自分って何て弱いんだろうって思ったりするよな」
…そう言われても、まるで解らない。
でも、何も知らないよりはマシか。
だけどな〜雑魚相手にしてらんねぇよなぁ、とか呟きながら、綾は伝票を持って立ち上がった。
沙織もその後に続く。
しかし、あの人ごみの中からどうやって、人間と『そうでないもの』の区別がつくのか。
なんだか少し、気味が悪い。
「大丈夫だよ、あたしがついてるから」
ぱしぱし、と沙織の肩を叩いて綾は呑気に言った。
そして二人はカフェを出て車に乗り込むと、家に向かう。
☆☆☆
「おかえり〜」
家に戻ると、悠がエプロン姿で出迎えてくれた。
それを見て、沙織は思わず吹き出す。
「悠くん…何、その格好?」
「たまには俺が沙織ちゃんに手料理でもと思ってね。いつも作ってくれてるし」
…夕飯の支度をしてくれていたのか。
