そして、今日は5月1日



今は早朝5時半過ぎである。



以前見たソナの未来のビジョンによれば、今日の朝7時くらいには陣痛が始まり3時間後には産まれて来るんだよなぁ。



そう思ったら、興奮して夜中には目が覚めちゃったんだ。



入院用の準備は終わり、一式をバッグに詰めて車に積んである。



6時くらいに、何と無く違和感を覚えたソナが起きてきた。



『オッパ、おはようございます。』



「どうしたの?

目が覚めちゃったのか!?」



『赤ちゃんがさぁ、スッゴイ蹴ってくるの!』



「そろそろ出たがってるんだよね赤ちゃん!」



『そうかなぁ!?

まだ予定日まで4日有るもんねぇ~赤ちゃん♪』



「それでも気になるから、今から診てもらいに行こうな。」



『え~、そんなの大丈夫だよ。』



「まぁ、そう言わずに、俺を安心させる為にもちょっとだけ行こうよ!な!?」



『分かりました。

それじゃあ準備しますね。』



6時半に着替えを済まし、軽く化粧したソナがリビングに遣ってきた。



オレンジジュースとクロワッサンを軽く食べてから、車に乗り込んだ頃から何となくソナがお腹に張りを感じてきだした。



「どうした~?」



『何かねぇ、下腹の辺りが張ってきてるのよ。』



「そろそろ出てくるんじゃないのかなぁ!

もうすぐ病院だからね。」



『うん、わかった。』



病院に着いたが、もちろんまだ開いてないが、個人病院で自宅と繋がっているので、いつでも院長先生は居るし当直の看護士さんも居る。



インターフォーンのボタンを押すと数秒して、



『おはようございます。

どうされましたか?』



「高山雅ですが、陣痛が今始まりました。

もうすぐ産まれそうなんです。」



『ドアのロックを解除しました。

どうぞ、中にお入りください。』



「さぁ、ソナこちらにおいで。

どうだい?」



『張りが強くなってきて、腰が重たくてちょっとだけ下腹が痛いの。』



「この車イスに座って!」



と促し座らせた。



そこに看護士さんが遣ってきて、



『陣痛が始まったのは何時頃からですか?』



「今朝7時すぎからなんです。」



『陣痛がやっ来るのは何分間隔か分かりますか?』



「もう10分置きくらいです。」



ついに始まったソナの出産、病院内は慌ただしく準備が始まるのかと思ったが、いつもと同じ穏やかな時間である。



ソナは、だんだん短くなっていく陣痛の間隔に耐えながらベッドの上で必死に頑張っている。



そして、終にその瞬間が遣ってきた。



この間観たソナの未来のビジョン通り、朝10時に元気な男の子が産まれた。



俺の新たな人生の始まりの様な感覚がした。



それからは家族を守っていくぞ!と決意も新たにした一日であった。