金浦(キンポ)空港から、この仁川(インチョン)国際空港へ全ての国際線を移動させ、今では 全世界53カ国173都市をつなぐ航空機が就航している。



数年前、外国航空会社専用の搭乗棟(コンコースA)が新設されて、現在はアジア最大級のハブ空港となっているのだ。



それでも、釜山(プサン)と大邱(テグ)、そして済州島(チェジュド)の3ヶ所だけはローカル線が就航しているのだ。



現在の時刻は、午後5時半を少し回ったところ。


大韓航空KE1423は、夜の7時5分発だから、大韓航空のカウンターで予約してあった航空券を受け取り、搭乗手続きを済ませてから、荷物を預けて、俺とソナは空港内のレストランへと向かった。



『ねぇオッパ、済州島には何時に着くの?』



「所要時間が1時間15分だから、午後8時20分だな。」



『じゃあ、もう真っ暗だね。

ホテルは?』



「泊まらないよ。

済州には、うちの保養地も別荘も在るから大丈夫だよ。

今回は、俺達が別荘に泊まるから。

友植(ウシク)兄さんと優珍(ユジン)さんは、保養地の方に泊まって貰うから。

って言っても、隣同士なんだよ。

真ん前にプライベート ビーチも在るから最高だよ。」



『楽しみだね♪

アッ、このレストランに入ろうよ。』



仁川空港の4階には、ウォーカーヒルホテルが運営するレストラン街【ウォーカーヒル】がある。



高級店やカジュアルな感じのお店まで色々だ。



その中でソナが足を止めたのが、



「韓国家庭料理店《ハヌル》。

なんか、妹の店みたい。」



『名前が気に入ったから入ろうよ。』



と言いながら、ソナは既に店内に入っていった。



慌てて俺も後に続いた。



「いらっしゃいませ! こちらのお席にどうぞ!」



案内されたのは窓際の席だ。



窓の下には出国フロアが見渡せた。



『俺は、海鮮キムチチヂミとスンデゥブのセットを!』



「私は、大根の葉入りカルビタンを下さい。」



食事をしながら、とりとめのない話をして、食後のデザートを食べ終わった頃、フライト30分前になった。



おあいそを済ませて俺達は出国ゲートへと向かった。



機内に入り搭乗券を見せたら、ファーストクラスの席へと案内された。



お腹がふくれた俺達は、座席に座ると直ぐにアクビをしはじめ、結婚式の疲れもあって、気が付けばいつの間にか眠っていて、目が覚めたのは着陸間近の済州島上空であった。