アイツは私の初彼氏



「葛原さんさぁ、この間の日曜日に伊波とデートしてたでしょ?」

「―――っ、えっ?」

ヤツは、ビックリするくらい核心に触れてきた。

私は思わず、緊張で身を固める。

「ふわふわでキラキラの可愛い子。伊波は教えてくれなかったけど、あの子は葛原さんだよね?」

「……わ、私じゃない」

私は思わず否定する。

「いやいや、あれは葛原さんでしょ。オレ、そういう記憶に関しては自信あるんだ」

高木は得意げにそうのたまう。

そういう記憶ってなんだよ。
あんなに濃い化粧されてたのに分かるわけないし。

「私とその子が同一人物なわけないだろ!私のどこが『可愛い』になるんだ!」

自慢じゃないが、これまで可愛いとかいう女性に向ける感想とは無縁だったから。

『カッコいい』なら言われた事あるけど。

「確かに、いつもの葛原さんは男前だと思うけどね。あの時はホント可愛かったよ!」